つきあいました。①

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「何、じゃねーだろ!お前…」 「はい?」 「とぼけないで!あんた本当に……」 ―はいはい、知ってますって。 君らの言いたいことも、それに対する私の返答も。 …何回、同じこと繰り返してると思ってるの。 「聖悟君と、付き合ってるの!!?」 ハイ、キタ。決め台詞。 女子特有の、キンキン甲高い声が非常に喧しい。 これで、…えーっと、通算で8回目かな。 …まったく、 下らん噂回すんなら、それとセットで真偽も添えてくれたらいいのに。 私はため息交じりにコーヒーをひとくち飲み、ぼそりと答えてあげた。 「付き合ってますよ。」 「!!!!????」 途端、信じられないように顔を引きつらせる彼女ら。 …符号、多。どんだけ驚いてるの。 「う、嘘よ!あんたの妄想じゃないの!?」 「どんな!どんな手を使ったの!?」 「黒魔術ね!本城さんならできる気がする!!」 「本当のこと言ってよ。ね、怒らないから。」 私を囲む女子大生らは一瞬のフリーズの後、口ぐちに問いかけてくる。 …あーもー、相変わらず酷い言われようだ。 今日のは特にバラエティに富んでるな、うん。 噂が出回ってて、ソレを肯定して、何が不思議なんだかなぁ。 まぁ、人って、受け入れたくない事実には目を逸らしたがるらしいしなあ。 そういうことか。 「いやー、嘘とか言われても、事実ですけど。」 「違うっどうせアンタが無理やり言い寄ったんでしょ!」 バンッとテーブルを叩き、熱弁を奮う、…えっと、先頭のショートカットの女。 …篠原さんみたいなこと言うな、この女。 どうでもいいけどカップ倒れた。 ひじ濡れた。クリーニング代求む。 .
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