つきあいました。①

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「…そんな信じられないんだったらさー、」 不機嫌顔で零れたコーヒーをふく私。 そして、それを射抜くように見ている数多の目。 ―あーもう、めんどいなぁ。 「聖悟に、直接聞いてみれば?」 ……まあこう聞くと、 「っ!?な、そんなこと、出来るわけないでしょ!?」 「わ、私が聖悟君と話すなんて…。」 「ム、無理無理!!」 ブンブンと高速で首を左右に振る女子ら。 ―こう、返ってくるんだよな。 確実かつ決定的な方法なのに、それを選ばないのよね、この人たち。 アイドル的な存在だから、単にヤツに近付けないのか、 その決定打を受けるのが怖いのか。 ……恐らく後者かなー。 「―とにかくっ!」 紙コップをくしゃりと握りつぶし、ぼんやりとそれを観察していると、 いきなりビシッと指を突き付けられた。 マスカラを塗りたくっている重そうなマツゲ……の下の瞳が、キッと私を睨む。 「あ、あんたが聖悟君と一緒にいるのはおかしいでしょ!」 「そ、そうそう!ちゃんと顔と相談してから来てよ!」 「ムカつくのよ!ていうか、正直邪魔!!」 「…………。」 …あ、今気になる発言あったな。 顔と相談、て。 …整形か? てか、結局そういう話になるんだよねぇ。 私はまた、ため息をついた。 「…そんなん、知らないって。嫌だったら勝手に向こうから離れるんじゃない?」 そう言い終えると、女の子たちがまた目を吊り上げるのが見えたが、 それより早く、背後から大きな影が私にかぶさってきた。 「それもそうだな。 …まぁ、離れるつもりなんか、ないけど。」 .
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