つきあいました。①

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あれ、と思ったときにはもう後ろから男の両腕が絡まっていた。 ぎゅっと背後から抱きすくめられて、椅子に体を縫いつけられる。 ―やっと来たか。 「…聖悟。」 「ごめん、待ったか?」 首を回して後ろを向くと、 予想通り、噂の種の国崎 聖悟本人が笑顔で私を覗きこんでいた。 「っ!!?」 「…え……っ!!?」 女子共は声にもならないくらい驚いている様子。 口をぽかーんと開けた驚愕の表情は…なんていうか、見るにも堪えない。 ……顔と相談するのは君らの方じゃないかなあ。 そう頭の片隅でちらりと考えたがしかし、それは私の気にするところに非ず。 私は首を元に戻し、正面を向いたまま聖悟に話しかけた。 「…聖悟、遅い。」 「ん、悪い。教授に呼び出されてさ。それより何?この人だかり。」 「ぜーんぶ君のファンだよー。」 「…またか?というか、まだ居たのか?」 「どうも、私と君が付き合ってるのが信じられないらしい。」 「へぇ。」 そこで、聖悟は初めて周囲の女子に目を向けた。 目が合った女子はユデダコのように顔を真っ赤に染め、慌てて目線を逸らす。 「あのさぁ、」 だが、聖悟も、私同様に女子らのことは気に留めてないようで。 気の抜けたような声を出し、おもむろに私を指さして、言った。 「こいつ、俺の彼女で間違ってないけど。」 .
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