つきあいました。①

6/10
2001人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
その瞬間。 ガーーン。 ―そんな効果音が聞こえてくるような雰囲気になった。 さっきまで顔を赤くしていた女子は皆、真っ白になって崩れ落ちる。 『嘘、嘘よこんなの……』 『これは白昼夢に違いないわ。ああ、夢なら覚めて……』 瞳に色を失くした女たちの亡霊のような声が所々聞こえてきた。 ――って、 そんなにショックか? つか、怖い。さっきより数倍怖いよこの人たち。 人間って、末期になるとこんなんなるんだ。 …後ろの方、すでに失神してるし。 「…聖悟ぉ。」 声をひそめて、後ろの男を呼ぶ。 「んー?」 だが、大量に廃人を作った張本人をちらっと見ると、全く気にしてない様子。 それどころか私の髪に顔を埋めたりしてる。 ―相変わらず、自由な男だ。 「……なんか私、君と付き合うの、歓迎されてないらしいんだよ。」 「へぇ。そうなのか。それで?」 いや、『そうなのか』じゃなくてさ。 見りゃわかるでしょ。 言っとくけど、君のせいだからな。 少し責めるような気持ちで回されている聖悟の手を掴む。 「だからさ、この人たち、こんだけしつこくつけ回してくるんだと思うんだよね。」 そう。 この一週間、なんか色々と大変だったんだよ、私も。 大学だから靴箱にゴミ、とかは無いけどさぁ。 何処からか飛んでくるギラギラ痛い視線は、何とかしてもらいたいものだ。 …こうやってハッキリ聖悟の口から言っても、なかなか効果が無いからなぁ。 「ふーん。……じゃあ、」 少しかがんだらしい聖悟に、 コッチ向け、と言われて素直に聖悟の方を向く。 彼の顔面が視界いっぱいに広がった。 …なんか知らんが、近い。 「―で?なに………っむ?」 するとまたたく間に、聖悟の唇が私のに重なった。 .
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!