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「じゃ、出発っと。」
ガチャ、バタン。
カチ、
ブロロロロ………
ゆっくりと動きだす車。
流れていく景色。
「……え、……は!?」
――やっと我に返ったのは、
男が運転席に乗り込み、キーを回し、車を発進して駐車場を出たときだった。
私は混乱する頭を置いておいて、鼻歌交じりに運転している聖悟に掴みかかった。
「ちょ、何コレ!?聖悟!」
「はぁ?…俺の車だけど。お前、何回乗ったと思ってんだよ。」
だ・か・ら
ちっがーーう!!
「んなこと知ってるわ!何乗せてんだよ!何処行くつもりだ!?」
「ああ。俺ん家。」
……さらっと答えて下すったこの男にドロップキックをお見舞いしてやりたい。
O-RE-N-CHI だと?
あの、恐怖の魔城に?(多少の誇張表現があります。)
無 理 だ よ!
「……却下ぁ!!」
嫌だ!今度こそ生きて帰れないってぇ!!
「貴方に拒否権はありません、那津さん。あと、車内で騒ぐな。」
しれっと言うな!ボケナス!
ああもう、誰かこいつに私の言葉届けて!頼むから!
「っっ!聖悟っ!まさか君……このために今日呼ん……「ったりめぇだろ。」
そこで聖悟はくるっと私の方を向き、耳元に口を近づけた。
「あと、遠慮せずに泊まってけよ?」
「~~!!」
途端、
ニヤリと歪んだ唇から、私は真っ赤になって飛びのく。
しかし、やたら上機嫌な男はハンドルを握っていた手を伸ばし逃がさない、とばかりに私の顔を押さえつけた。
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