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必死に走ると暫くして森が途切れた。
雨足は少し弱まってきている。
「まずいな。」
おようが追いつくと男が呟いた。
おようは乱れた息を整えながら、男を見上げた。
男の呼吸は全く乱れを感じない。
濃い闇に目が慣れてきて、おようにも男の姿が見えている。
一見取り立てて際立った体つきではない。
背は高くもなく低くもなく、痩身ではないが肥えている訳ではない。
人の群れの中に埋もれる事が容易いだろう。
しかし、その体は信じられない様な力を秘め自在に変化する。
おようは知っている。
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