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何故なら男は忍びと呼ばれる者だったから。
まだ使い走りをするくらいだったが、おようも同じだ。
男は貧しい農民の格好をして傘を被っている。
おようも似た様な身なりだ。
傘の下で男の眼が光っている。
おようは少し不安になって口を開いた。
「土蜘蛛。」
「その名で呼ぶんじゃねぇよ。」
土蜘蛛と呼ばれた男が少し笑いを含んだ声で言った。
「兄ちゃんと呼べと言ったろうが。」
「いっ嫌だよっ。」
思わず声を上げた、おようの口を土蜘蛛は素早く手で塞いだ。
おようは目を見開き静止した。
自分達以外の気配を近くに感じたのだ。
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