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(…!!)
その先に逃げる場所はなかった。
およう達が行き着いたのは、切り立った崖の上だったからだ。
それも目も眩む程の…。
遥か下には、この雨で増水した川の轟々とした音が聞こえてくる。
「土蜘蛛…。」
肩で息をして、おようは早くも刀を構えている土蜘蛛を呼んだ。
「お前は、俺の後ろに居ろよ。」
自分の後ろから来るであろう、追っ手に視線を合わせて土蜘蛛は言った。
普段と変わらない声だ。
微塵も追い詰められていない。
おようは言われるまま後ろに回り、くないを構えた。
緊張がある。
本格的な戦闘は初めてだった。
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