再開の味

15/18
前へ
/30ページ
次へ
「それは多分服が入ってると思うから、そこのクローゼットの前に置いといていいよ」 「服か……よし」 俺は自分が持ってきた段ボールを部屋の隅に置くと、再び一階へと降りた。 俺の分の段ボールはあと5個くらいだったから、何か予想よりすぐに終わる気がする。 美鈴のおかげってのもあるけど。 「よいしょ……ん?」 二つ目の段ボールを持ち、また部屋に行った所で気付いた。 変なことに。 いや、まだ15歳のくせに“よいしょ”とか口に出してる事じゃない。 中々降りて来ないと思ってたら、美鈴は俺の部屋で段ボールを勝手に開けて服をクローゼットにしまっていた。 いや……うん。 「えっと……美鈴?」 「ん?何だ?」 「あの……何をしてらっしゃるんです?」 「ん?あぁ、しまっておこうと思ってな。大丈夫、服の畳み方は結構綺麗な方だから」 ……何が大丈夫なのやら。 「あのね?美鈴」 「うん?」 正座している膝の上で俺のジーンズを畳みながら、美鈴は顔を向けてきた。 「あのさ、その段ボール、置いといていいよって言ったじゃん?」 「む……男の子は何かとだらし無い所があるからな。どうせ無茶苦茶に押し込むだろう?」 「いや、その段ボールの中には俺のパン……下着もあるんだしさ」 「……あぁ、私は気にしないぞ?」 いや、確かに口では何とでも言えるよ? 気にしないとか言うなら、下着って言った瞬間一瞬ビクッと反応したのは何だったんだ? 「美鈴は気にしなくても、俺は気にするんだよ」 「む……何でだ?」 「何でって……じゃあ俺が美鈴の下着をクローゼットに整理してても気にならないの?」 「それは意味合いがまったく違うものになってくると思うんだが」 「俺は気にしないよ?」 「胸を張るな!ただの変態じゃないか!」 いや、言ってる事に間違いはない。意味合いも大体合ってるはずだ。 「つまりはそういう事なんだよ」 「いや……おかしい。何かがおかしいんだが……」 ぶつぶつ呟きながら、美鈴は今畳んでいる服をクローゼットにしまうと渋々と立ち上がった。 一応は納得してくれたみたいだ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

618人が本棚に入れています
本棚に追加