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2月22日、公区(町内会)対抗ミニバレー大会。
僕は自分の出番を終えて体育館の隅にしゃがみ込み自分のチームの最終戦を眺めていた。
「あの人、誰?」
そう尋ねながら僕の横にしゃがみ込んできたミキ。
いつもと変わらずいい笑顔だ。
「元農業改良普及員だよ。独身だよ。」
「だったら私にどうしろって?」
たわいない会話を交わす。
いつもならそれだけなのに…
何だろう? 胸がドキドキする。
ときめいている? いやいや、まさか? 人妻だぞ!
ミキとは6年前、息子が小学1年生のとき、スケート少年団で知り合った。
ミキには5年生と3年生のふたりの娘がいた。
娘2人は私になつきスケートの合間によく遊んだ。
しかし、母親であるミキのことは全く覚えていない。
よく話し掛けてくれた記憶はあるが、いつも息子に「あの人は誰?」「あー、ひかりの母さんか。」とこっそり教えてもらっていた。毎回である。
私の携帯にはいつの間にかミキのアドレスが入っていて、スケート少年団の集合時間に遅れると心配して電話をしてくれた。
そのうち顔よりも声でひかりの母さんと認識できるようになっていた。
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