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8時半を回ってようやくミキが来た。
「遅せーな!」
さっきの仕返しだ。ニコニコしながら隣の空席の椅子を引いて座るよう促した。
「しょうがないでしょ! 子ども会が終わらないんだから… 会長、説明に苦労してたわよ 辞める本人はいないし理事からはなんで引き止めなかった?って責められて…」
「そうか 苦労させたな」
「苦労させたなじゃないわよ」
有り難い話だ。何の役にも立たない僕をみんなが引き止めてくれる。だが、何時かは身を引かねばならない。ただ僕にとってはそれが今年だったというだけのことだ。
後援会に出席している親は8名。元々部員が15名しかいないし兄弟で所属してしている家庭もあるのだから半数以上の出席か。
ここの親達は僕とミキがこんなにも親しく話が出来る仲だとは思ってもいない。
二人が言い合っている姿を不思議なものをみるように眺めていた。
9時半過ぎに後援会が終わった。しばし他の親達と雑談しているとミキが袖を引っ張る。
「子ども会の懇親会に行くわよ 飲むなら家まで迎えに行くから車置きに行こう」
「そうしてくれるか? すまんな」
2台並んで家へ帰り玄関に車のキーを置いてそそくさと外へ出た。
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