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「顔が、泣かないで、」
あなたはいつも優しいの。いつも私のほしい言葉をくれるのに。今日に限って言ってくれないから、ほら、早くその綺麗な唇で囁いてよ。私、今なら聞き取れる気がするの。だめ、あなたが見えない。あなたが見えない、泣いてないわ、はやく、その薄い唇で私の唇を塞いでよ。
「ねえ、あなたは私なのに、どうして今日は私の思い通りにならないの」
だから、もう限界なんだって、君が言っていたのに、認めたくなくなったんだね。僕が恋しいんだね。僕が居なくちゃ生きていけないんだね。解ってるよ、だって僕は君だから。君がほしい言葉なんて何度も何度も囁いてあげれるのに、君が、考えられないだけなんでしょう。だから、今日で、限界なの。私、何時までもあなたにすがりついてちゃだめだって解ってるの。だから、今日は、このまま、あなたに抱かれたまま、独りで眠るわ。ね、あなたはこんな私を見たら笑うかしら。あなたしか愛せない私を見て、いつもみたいに冷たい目で、薄い唇で笑ってくれるかしら。あなたに、最後に、もう一度だけ抱かれたかったの。ただそれだけよ。
あなたの声も、
あなたの体温も、
あなたの愛撫の仕方も、
あなたの全てを、
独りじゃ、もう限界だわ。
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