なつ窓

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なつ窓

  夕空に   せかされるように走る   車の磁石     恋人が待つ部屋へ   愛、咲く   家(うち)へと──      探していたものは まだ  僕の手は  掴めないままだけど    少しずつ ほほえみにも  近づいているよ  心配ないよ  僕は…       この窓から見つけた   景色をいつまでも   眺めてた 二人   世界中でたった二人     童心にかえった   君がいたあの夏が   ひさしげに   この街に   ゆっくりと身を降ろすよ         星たちが   まるで無邪気に遊戯を   はじめるように   藍色を   思い思いに飾りはじめた    次の休日にはね  おばあちゃん家へ遊びに行くの  もうすぐ妹の誕生日  プレゼントは何がいいかな     この席から見ていた   瞳はいつまでも   宝物   決して ひらかない   秘密     恥ずかしそうに答えた   未来は二人分     まじわらぬ道に   それぞれの夏が   ならびだす
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