魔王歴136年 2月15日

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魔王歴136年 2月15日

 今日はアイナと魔王城の近隣にある村スフレに視察をしに行くことになった。  と言っても、生まれてから三日目に一度訪問しているのだが、村長が大切な用事があるとの事でめんどいがいかなきゃならん。  何で魔王の俺がわざわざ行かなきゃならんのか。  スフレの村までは距離があるので、カバネシの用意した馬に乗ってアイナと供に村に向かう。 「魔王様。お気をつけ下さい」 「ああ。行ってくる」 「カバネシさん。留守をお願いね」  俺は黒い馬、アイナは白い馬にまたがり城門から出発をする。  広い荒野を数十分かけて抜けだし、魔王の洞窟の横を通り過ぎ、魔王の森に入る。  森の中は陽射しが強いにもかかわらず、薄暗く今にも幽霊でも出そうだ。 [でねーよ]  台無しだよ。 「この森を抜けたら直ぐにスフレの村ですが、馬を休ませるために女神の泉で休憩しましょう」  道中一言も喋らなかったアイナがやっと口を開いた、文句の一言でも言ってやりたいが機嫌を損ねるのも嫌だったので。 「わかった」  と答え、会話を終了させないためにすかさず話題を振る。
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