私が産まれた日

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『あい、ちぇんちぇでしゅね。ちょうちょうおまちくらたい。』 舌足らずな喋り方はこの口で話すのは数年も立っていないから。 私はピノコ、先生の奥さんって事にしてね。ブラックジャック先生がこの世に助けてくれなかったらどっかの大学病院の暗い資料室でホルマリン漬けの標本になっていた。 私とちゃんと話してくれたのは幼かったあの娘以来先生が初めてだった。 あの日は一生忘れない 『先生、早く…早くこの禍々しい物を採ってください!』 酷いよ、本当なら双子の姉妹で産まれる筈だったのに “禍々しい物”って… 勝手にお母さんのお腹の中で私の身体を取り込んで大きくなった挙げ句に禍々しいなんて。 そりゃあ、私のせいであなたが色々大変な目にあってるのは…悪いと思ってるよ。 『うーん、正直うちでは無理ですが…あの男なら大丈夫かも知れません。』
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