私が産まれた日

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『こうまでして患者の正体をかくしたいのかい?良いだろ…聞かないよ。』 また、どっかの医者に診てもらっている。でも今まで聞いた声の中で一番落ち着くな。 『どうせ私の所へ運びこむのは…まともな病院だと噂が立つからな。』 あぁ、素性を知られたくないからね。この娘のお腹を通して外の音は聞こえるから色々解ってはいる。 私達…と言いたいけど、この娘は由緒正しいお家のお嬢様。世間体では病弱とかで通していた。 『い…いや…そう言う訳では…』 相変わらず可仁先生の声は嫌い。 この娘も可仁先生の事を信用はしていない。 お腹の中にいるからかこの娘の考えている事は解るけど、私の考えている事は解らない…ううん、解ってるのに完全に無視。 最近は私を切り離す事ばかり考えている。 あーぁ、また考えているね。 【何で私だけこんな目に合わなきゃいけないの!】
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