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この娘言い返せなかった。
『嫌だ』
って一言が言えなかった。
だってこの娘もお母さんと同じ一人じゃ生きていけないお嬢様。当たり前だ、そんな両親でも振り向いて欲しくて親の言いなりになって育てられたから。それしかこの娘が生きる道はない。父親にとってこの娘は家の名と会社を守る為の…お人形さん。
『満汰君はお前の学校の先輩でクラブのOBでお前とも親しいと聞いたから、知らない男より良いだろ。』
駄目よ、この娘は嫌いよ。あぁ、やめてこの娘の身体中で悲鳴を上げてる。
『解りましたわ、お父様。ありがとうございます。』
また自分に嘘ついた。
【うるさい!黙れ!】
久しぶりに話しかけてきたのがこれ?
【うるさい、うるさい、うるさい…良いのよ、もう何だって】
解ったわよ、もう黙るわよ。また我慢するのね、また良い子になるのね。
また私は何も出来ない…ごめんね。
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