金色の命

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  いきなり快復した俺を、クラスの友人はからかった。 気合いで治したんだなとか、 大会直前に良くなるなんてどんだけ熱血なんだとか、 お前は頑張ってるから、神様が奇跡でも起こしたんだろうな、とか、 神様、奇跡。 実際似たようなもんだ。 急激な回復が、あの自称天使の力によるものなら、俺がしたのは神頼みと同じだ。 他力本願な行為だ。 もし明日大会でいい成績を残したとしても、結局自分の実力ではないんだよな。 風邪をこじらせたのは自分のせいだから。 体調が優れないままでもやれるだけのことはやるつもりだった。 でも、俺は元気になってしまった。 他人の力によって。 自分のまいた種を、他人に処理させてしまった。 努力とか、あの少女に偉そうに言えた立場じゃない。 色んなことに気が付いて、とたんにあいつに会いたくなった。 ――謝りたい。 謝らなくちゃいけない。 お礼をしなくちゃいけない。 ……大会は、どうしよう。 彼女がもたらしてくれたチャンスに乗ることは、やはり卑怯だろうか。 自分の中で答えを決められないまま、部活の時間を迎えてしまった。  
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