そらのきざはし

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    「俺、気付いたんですよ。色んな人のおかげでここにいるんだ、って」 「うわあ、なんか悟っちゃってる。きもい」 けたけたとからかった後に、ふと真面目な語気になって続ける。 「でも、大事だよね、そういうの。今までは『俺様』な音だったけど……良くなった。ほんと」 後半は噛み締めるように、半ば独り言のようなことばだった。 俺様……か。 確かに、俺の音を届けたくて、自己主張の強い演奏だったな。強すぎるくらいに。 ひとりで突っ走ってたんだ。 酷くなる前に休めと言われたのを無視したり、そもそも演奏のことしか考えられずに体調に気を配れないなんて本末転倒だ。 俺のダメなところを教えてくれる人がいたのに、ひとりで立ち続けるのか正しいんだと思い込んでいた。 俺様気取りなだけの、ひとりで立てないただの子供だったのに。 気付いたきっかけは、天使のやつが来たからだな。 風が吹けば桶屋が儲かるような話だけど、結果的にはあいつのおかげで目が覚めたんだ。  
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