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「お母さん、絵本読んで。」
黒髪の幼い少女が笑顔で母親に絵本を突き出す。
「あらあら、有紗<アリサ>は本当にこの絵本が好きね。」
不思議の国のアリス…それは有紗の一番のお気に入りだった。毎日のように繰り返し読み、内容を覚えているのにまだ読み足りないらしい。
「いつか、アリスみたいになれるかなぁ、不思議の国を冒険して、いつも笑ってる猫さんや、慌てんぼのウサギに、皆でお茶会!!」
「そうね、いつかなれるといいわね。」
…それは、もう昔の記憶
アリスの歳になっても、シロウサギは現れなかった
成長するにつれ、アリスへの憧れは次第に薄れるものの、不思議の国へ行きたいという願望が途絶える事は無かった
そして、有紗が高校へ入学したのを境に
物語は、動き出した…
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