第一章・始動

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その日は例年に無く暑い日だった。 4月になったばかりというのに30度を越えている。 気候の変化のせいで四季という感覚が薄らいでしまったこの日本でも、まだこの気温は暑い時期だった。 とはいえ、強すぎる日差しのせいで半袖の服を着るわけにもいかず。じんわりと汗を流しながら帽子を深々と被った人々が街を行き来する。 海面上昇にともなって、首都機能を移された以前の地方都市も。 高原のさわやかな風や美味しい空気はどこかへいってしまい。 今では携帯型の酸素マスクを持ち歩かなければ、おちおち外を出歩くことも出来ないくらい大気が汚れてきてしまっていた。 その日、天園ヱデンはその街に来た。 一際目を引く彼のその容姿は、帽子だらけの街角でこれでもかと浮かび上がるのには十分だった。 この強い日差しの中でも帽子を被らずに居る彼の頭髪は、絹のように真っ白だったからだ。 それだけではなく、彼の瞳も色素をなくしたかの様に白に近い色をしていた。 色彩のある服を着ていなければ、そこだけモノクロの世界かと勘違いしてしまいそうなほど真っ白な少年だった。
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