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何も話さない陽輝を不思議に見つめ、少女はしばらく考えた後ひらめいた顔をして問いかけてきた。
「もしかして今日ここに入る予定の一ノ瀬さんですか?」
「は、はい。そうです。」
陽輝がどもりながら返事をすると少女は陽輝の右手を両手で包み込み、優しい笑顔を向けてきた。
「お待ちしておりました。
私、豊田 明恵と言ってこちらで下宿させていただいてます。
同じ下宿人同士なかよくしてくださいね。」
自己紹介を済ませると
「着いてきてください」
と言ってヤマカワ荘に入っていった。
陽輝は離された手を名残惜しそうに見ながら明恵の後を着いていった…
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