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「元気でな霧谷」
「いつかまた会おうね霧谷君」
この日、1人の少年とその家族が住み慣れた町から引っ越す事になった。
父親の仕事の都合と母親の療養の為だ。
名残惜しくはあった、1人暮らしをしてでも町に残ろうかとも、少年は考えていたようだ。
しかし体が悪く時折床に伏す母親を放ってはおけない。
父親に任せっきりは酷だと考えたのだろうか。
少年は家族と共に引っ越す事を決めた。
「良いのか? 神夜」
「ああ、父さんだけじゃ心配だからな」
「酷いなぁ」
「そうか?」
学校で挨拶をし終わって今は車の中。
家財道具を乗っけたトラックを追いかける形で、今、見知らぬ土地へと向かっている。
(どんな所だろうなぁ月魅沢って)
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