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この呼び方は他の誰でもない、藤ヶ谷。やばい。怒られる。そう思って少し肩を震わした。
「さんきゅ、な」
なんでだ、お礼って。てか、藤ヶ谷が優しい。
疑問を解決するため、いつものように少し見上げる。(10㎝近くある身長差に、常に無意識でやってしまう)
「…あ」
俺の人差し指を握ってきた。
くれぐれもメンバーにバレないように、そっと。静かに。
そのまま楽屋の端にある、2つのパイプイスにお互いが座る。
一体全体どうしたっていうんだ。いつもメンバーやファンの前じゃ冷たくて、絡みも少ないのに。
「やめろよ、あんなことすんの」
俺の人差し指は藤ヶ谷に握られたまま。
たまに強く握ったり、爪の辺りを撫でるように触ったり。
一瞬、藤ヶ谷が楽屋全体を見回したと思ったら、
俺は藤ヶ谷のでかい体にすっかり包まれて、軽く締め付けられた。
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