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時間ばかりが過ぎてゆく中、やっと口を開いてくれた。
「…僕の名前は、六ヶ辻 雲羅<ロクガツジ ウンラ>です。この村の悪夢を見にきました」
「悪夢を……?」
「はい」
雲羅と呼ばれる男の子は、はっきりとそう言った。
(…悪夢を何故しっているの? 怪しい…)
桜は心の中で、そう呟いた。
「あはは、何故って? それは、僕も悪夢の化身のひとつだからだよ」
「……!!」
桜は思わず、一歩下がってしまった。
(…何で心の中が読めるの? そして、悪夢の化身って…!)
心の中を見透かされて、動揺を隠せなかった。
雲羅は口元を歪めると、心を読んだかのように笑った。
「…はは。僕の悪夢の力は人の心を見透かすことだよ。いくら読まれないようにしても無理だよ」
雲羅ははっきりとそう言った。その言葉の意味は誰にも、わからなかった。
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