第二部 七話 夢ノ中デ

6/11
前へ
/145ページ
次へ
誰もいない部屋に庵奈は一人、机の上の写真を眺めていた。 家族との楽しい思い出。もうあの頃には戻れない。 決意を胸に、家から出た。向かう先は、学校。日常生活に戻り、普段の生活を営む。 だが、普段の日常生活も悪夢に侵食されている。どっちにしろ、逃げられない定めである。 「さて、今日も元気良く、行きますか!」 ガレージから自転車を取り出すと、家の前の坂を下っていった。 大通りとぶつかると、黒子がいた。黒子は一人で、淋しそうに歩いていた。 それを見兼ねた庵奈は、黒子の隣に並び、声をかけた。 「おはよ。一緒に行ってもいい?」 黒子はびくっと、肩が震えた。突然話かけられて、びっくりしたのだ。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加