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まるで──別人のようだった。
「あは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははッッ!!
あー、本当におかしい。今までずっと騙し続けていたんだよ? それなのにだぁれも気付きはしない。
…本当に愚か者だよ!」
慶輔は狂ったように笑い続けた。
風が吹き出して、地が歪み始める。雲は次第に広がり、雷鳴が轟き始めた。
庵奈はとっさに黒子を抱き寄せ、守る。
妖姫は相変わらず、微笑んでいた。
「僕はずっと、天涯孤独で生きてきた。誰も僕の苦しみも、淋しさもわからず、決まった言葉しか言わない。
…だから、僕は全ての人に同じ思いをさせてやろうと思った」
「…ばっかじゃないの」
「は! なら見せてあげるよ、僕の孤独を…!!」
慶輔は両手を広げ、天を仰いだ。
風は一層強くなり、雷鳴は地へと落ちた。
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