八話 老いた世

4/16
前へ
/145ページ
次へ
僕は妖姫の話を毎日聞いた。僕が世界を拒むのは、“悪夢”と呼ばれるものの影響らしい。 妖姫は【悪夢の理解者】らしい。 「─妾は一度でも良いから、でぇとと言うものをしてみたい」 病室から外を眺めていた妖姫は、呟いた。その顔はとても切ないように見えた。 僕は夏が終わった空を見た。 まだ傷は痛むが、それ以外は普通だった。早く退院して、外で遊びたかった。 妖姫はテレビの電源を入れた。 テレビからは歌が流れてきた。それはとても切なく、励まされる気がした。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加