八話 老いた世

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ある日、僕は黒子と二人で帰っていた。 季節外れの赤蜻蛉<トンボ>が飛んでいた。十一月が過ぎ、空は雪空になりかけてきた。 冬に行われる祭りのお囃子の音が聞こえてきた。 「……もうすぐ、お祭りだね」 「うん。そうだ、君にやってもらいたいことがあるんだ」 「やって…もらいたいこと?」 「それはね、この村に災厄を起こして欲しい。僕たちを狙う奴が、災厄を起こそうとしているんだ。 君にそれを止めてもらいたい。その為に“悪夢”と呼ばれる災厄を造って欲しいんだ。 ……無理だったらいいよ。良いのなら、この水晶を割って欲しいんだ」 「………………」 僕はカバンから、青みがかかった水晶を取りだした。それを渡すと、僕は家へと走った。 後ろでは、水晶を受け取った黒子が立っていた。 さて、これからどうなるのだろうか。
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