八話 老いた世

13/16
前へ
/145ページ
次へ
暗闇の中、黒子は一人でいた。手には水晶があった。 水晶は暗闇の中で青く輝きを増していた。水晶の中には白い焔が揺らいでいた。 「はぁ…はぁ、……」 呼吸が乱れて、心拍数が上がっていた。手には汗がべったりと浮き出ていた。 何を思うのか、黒子は怯えていた。 信じていた慶輔から言われた「祟りを起こせ」が、心の中で強い怒りに変わっていた。 だけど、慶輔君の為だから── 覚悟を決めると、水晶を高く掲げた。 パリーン、 水晶は綺麗に砕けた。中にあった白い焔は、天井に昇り、消えた。 黒子はその場に泣き崩れた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加