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同時刻、慶輔は家にいた。
薄ら闇の中で微笑していた。
彼はわかっていた。彼女が自らの意志で水晶を割ることを。
薄ら笑い、闇に谺する。
地獄のような光景が、眼下に広がっていた。床は赤黒に染まり、腐臭が漂っていた。
彼は───歪む。
悲劇な祟りはここから始まる。“悪夢”と言う名の叙事詩が、苳村を包み込む。
彼らは一人の少年の掌の上で踊らされていることも知らずに、ただ真実を探す。世にも滑稽なお伽噺話である。
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