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全てを語り終わった慶輔は歪んだ表情で沈黙していた。
庵奈の中には、赤黒錆ついたような色の炎が燃え上がっていた。その感情は──怒りだった。
その隣では、黒子が怯えた目で見ていた。
それにお構い無しに、慶輔は言った。
「君達はもうすぐで死ぬんだよ。
僕は君達を殺した後で、祠の封印を壊す。そして、悪夢に侵された村から出ていく!!」
「あんた…ふざけんじゃねー!」
庵奈は慶輔の胸ぐらを掴んだ。
自分たちを騙した慶輔が許せない、新火を守りきれなかった自分の弱さ──それらに苛立っていた。
慶輔は口元を歪ませ、笑った。
「ふ、僕は全てを手に入れた。だから、君達に負ける訳はないよ」
そう言うと、地面を見下ろした。
それに釣られて庵奈も、地面を見た。
その時、
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