九話 終わり

2/9
前へ
/145ページ
次へ
全てを語り終わった慶輔は歪んだ表情で沈黙していた。 庵奈の中には、赤黒錆ついたような色の炎が燃え上がっていた。その感情は──怒りだった。 その隣では、黒子が怯えた目で見ていた。 それにお構い無しに、慶輔は言った。 「君達はもうすぐで死ぬんだよ。 僕は君達を殺した後で、祠の封印を壊す。そして、悪夢に侵された村から出ていく!!」 「あんた…ふざけんじゃねー!」 庵奈は慶輔の胸ぐらを掴んだ。 自分たちを騙した慶輔が許せない、新火を守りきれなかった自分の弱さ──それらに苛立っていた。 慶輔は口元を歪ませ、笑った。 「ふ、僕は全てを手に入れた。だから、君達に負ける訳はないよ」 そう言うと、地面を見下ろした。 それに釣られて庵奈も、地面を見た。 その時、
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加