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慶輔はその光を見て、表情を歪めた。額には薄らと汗が滲み出ていた。
どうやら、千寿の呪文が聞いているようだ。
庵奈は立ち上がると、周りを見渡した。
多くの家が倒壊し、木々が倒れていた。遠くから、人々の救助を求める声が聞こえる。
「こんなのって……」
ただ呆然と、立ち尽くしていた。
その時、千寿目がけて木が倒れてくるのを見た。
「…千寿さん!! 横…!」
「はっ…!」
呪文に必死だった千寿は、庵奈の声で我に返った。倒れてくる木を後ろに避けて、何とかぶつかるのを避けられた。
木の反対側、慶輔は静かに笑みを浮かべた。
呪文が途切れたことで、悪夢を呼び出せるようになった。
「さ、次は僕から行くよ」
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