九話 終わり

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一年前──あの事件から数日たった苳村<フキムラ>に警察と自衛隊が、駆けつけた。 当時、村は悲惨な状態だった。 地面はひび割れて盛り上がり、家は見事に倒壊していた。村人の多くはそれらの下敷きになり、原形を保たずに潰されて、死んでいた。 だが、不可解な死が二つだけある。 一つは、この村の僧侶と思われる一人が変死で見つかった事。 発見当時、遺体の四肢はあり得ない形で、折れ曲がっていた。いくら地震で倒れた物の下敷きになったとしても、これはあり得ないのだ。 一つは、行方不明となっていた佐々木庵奈と府中黒子が、これも変死で見つかった事だ。 警察の調べによると、二人の死体は山中にある井戸で見つかったらしい。これも不可解で、顔の形が変に歪んであった。又、何者かに引き裂かれた形跡が残されていた。
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