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「悪霊なんているの?」
「いるに決まってんだろぉ? バカか、おめー」
「…うっ」
正直、自分より二つ下の奴には言われたくはない。でも、この村に住んでいる歴は長いから、一応、先輩だ。
庵奈は苦笑いをすると、適当に受け流した。
気付いたら完全に日が落ちて、暗くなり始めた。ひぐらしの鳴き声もし始めた。
「あっ! もうこんな時間だ!」
「あん? ああ、夜は気を付けて帰れよ。赤い奴には絶対に気を付けろよ」
新火はそれだけ言うと、藁葺き屋根<ワラブキ>が並ぶ方へと帰っていった。
庵奈は頭を傾げると、家がある方へと帰っていった。
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