十話 残月録‐地獄話‐

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それはこの慰霊碑が全てを語っていた。 慰霊碑とは死者の魂を慰める為に、一人一人の名前を記した物だ。 ニュースによれば当時、生存者は“いない”と発表した。だが、住人登録表によれば「堀田慶輔」は苳村出身、と証明されている。つまり、「堀田慶輔」という人物はこの村の者では“ない”と、隠蔽されたのだ。 男はこのニュースを見た時からある違和感を感じていた。それが何なのかを解くためにここに来た。 「こいつは生きている。だが、今、どこで何をしているのかわからない。 ただ一つ言えるのは、この男は何か大きなことをしようとしている。それこそ、世界を巻き込んで──」
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