第一部 一話 始まり
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庵奈は暗い夜道を一人で歩く。 街灯は少なく、大きな道以外は一メートル間隔で備え付けられている。これでは不審者に出くわしてしまうだろう。 家がある方へと向かうほど街灯は少なくなり、ひぐらしも鳴くのを止める。 まるで、何かが出そうな感じだ。 ひた、 庵奈の後ろ──後方から得体の知れない足音が、近づく。それは素足で道を歩くような、冷たい足音である。
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