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この寺を中心に螺旋を描くように小さな祠が、村の色んな場所にある。それはかつて、この地に災厄をもたらした『悪夢』を封印する為だ。
鳥居をくぐり、中へと入る。そこにはまだ若い、二十歳ぐらいの僧がいた。
「やぁ、君が来るなんてとても珍しいね。何かあったんだね」
「ああ、そうだ。あいつはどこにいるんだ、北尾千寿<センジュ>」
千寿はニコリと笑うと、草履を履いて、外へ出た。
「彼女はこっちにいる、ついてきな」
新火は千寿に促されるまま、その後をついて行った。
長い森が続き、人が何年も立ち入ってないような、ずさんだ道だった。獣道のように草が折れているだけで、舗装はされていない。
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