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「魄狐面<ハクコメン>──それは祟り神の面と言われている代物だよ。これが死体の近くにあると、その年は災厄があるんだよ。
それが二年近く続き、人々は彼女のせいではないかと、考えたんだよ。
それで彼女を閉じ込めたんだけど……意味がなかったんだね」
千寿は残念そうに言うと、魄狐面をかぶった。
その姿はまるで──道化師のようだった。
木の小枝と小枝が風により、ぶつかり合って音をつくりだす。木の葉が舞う中に狐の面をかぶった千寿が、いびつに重なり合う。
「───そう。すべては二年前のあの日から、始まった」
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