三話 査定

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沈黙。 時計の針が動く音以外は何も聞こえない。静寂という空間で、二人の間に微妙な空気ができている。 茜に染まる教室はどことなく恐怖である。 「……………そろそろ帰るか」 沈黙の中、最初に口を開いたのは新火だった。 「………うん」 慶輔は頷いた。 茜に染まる教室を後にし、ひんやりとする廊下を歩く。窓は全て閉まっているが、どこからか風が感じられる。 分校から約ニキロ離れた神社前、道は二手に岐れていた。右側は新火の家がある旧市街地、左側は慶輔の家がある新市街地である。 二人はここで別れると、それぞれ自分の家に真っ直ぐ帰った。
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