三話 査定

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赤い蟲がはびこる闇の中に別な足音が近づく。素足で歩いているのか、時折蟲を踏み潰す音が響き渡る。 ペタペタ、ブチュグチュ、ズルズル 妖姫は目を細め、音の主を睨み付ける。 音の主はぼうっ、と闇の中に浮かび、その姿を晒す。 黄色い肌。長い黒髪を下の方で束ね、漆の瞳で嗤う。 「……あら、貴方が来るなんて珍しいわね。何かあったの?」 「うん? いや、別に。ただ、悪夢の理解者が現れたって聞いたからね」 「ふーん」 妖姫はつまらなそうに軽く返事をした。
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