三話 査定

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「………よく知っているな」 「……………」 目の前に広がる悪夢に喰われた死体を眺め、二人は話していた。 死体はケチャケチャ、と赤い蟲を纏い、静かに横たわっていた。二人はそれがどんな意味を表すのか、知っていた。 満月の夜──おぞましい現実が始まるのだった。 「──ねぇ、悪夢の夜が始まるよ」 「ああ」 二人の目の前には血塗れの女が立っていた。 首筋はパックリと、切れ目が開いていて、眼球は飛び出ていた。
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