三話 査定

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ガッシャーン ガラスが砕け散るような音がして、世界が変わった。透明のような白い肌が一瞬、新火の目の前に現れた。 悪夢は灰のように消えていき、失われた現実は徐々にその色彩を取り戻してきた。夢から覚めるような長い錯覚に襲われた。 二人はいつの間にか、それぞれの家のベッドで寝てた。 新火は、一生変わらぬ悪夢の残骸とも思われる土の跡を眺めた。 この土は井戸にいったときに付着した土だ。 「……あれは、現実か。 はぁ……寝ても覚めても、悪夢があった証明は変わらない。だからこそ、畏れなんだよ」 新火は一人、溜め息をついて天井を見上げた。 暗く、低く見える天井は上から何かがでできそうな、恐怖があった。
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