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そして、世界は歪に歪み、村も人も全て悪夢に呑みこまれた。だが、現世とまったく変わらない。
ただ、夢が覚めないだけ。
「………あんたは、何を知っているの? そして、何を企んでいるの」
「ふふ、この村の祠は悪夢をここに閉じ込めるためよ。なら、祠を壊しなさい。
そうすれば、悪夢は消えるわ」
庵奈は台所から包丁を何本か取ると、外へ出た。
向かう先は祠。行く先は悪夢。仮世にも行けない愚かな者の、行方とともに。
妖姫は満足そうに悲しげに言った。
「──ああ、私の悪夢よりもっと恐ろしい事が起きる。異<コト>のことわりと、言<コト>のことわり…悲劇は幕を上げる」
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