四話 終わらぬ悪夢

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「ねぇ、二人共……」 慶輔は言い争っている二人に、静かに言った。 その顔は恐怖と焦りに満ちていた。額には薄らと汗が滲んでいた。 慶輔の視線の先──赤い服を着た女性がふらふらしながら、こちらに近づいて来る。 顔は捻れ、口は耳まで裂けていた。裸足で、覚束ない足取りで近づいて来る。 「…なあ、あれって、『口裂け女』じゃねーの?」 「…違うでしょ」 「…口裂け女も、悪夢の一部なんだよ」 「「……………」」 二人は押し黙った。 悪夢はゆっくりと近づいて来るが、何故か進んでいないように見える。 「早く! 祠の扉を開けて、中にある水晶を割って!!」 慶輔は怒鳴った。その表情は焦っていた。 「で、でも鍵が…!!」
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