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暫くの沈黙が訪れた。
お互い睨み合ったまま、一言も発しようとはしなかった。
「……あの、冬刃君にお父さん」
「なんですか?」 「なんだ?」
「悪夢は多分、今夜起こります。…場所は祠です」
桜は静かに言った。
二人は顔を見合せると、急いで階段を駆け降りた。
一人残った桜は微笑みながら、「行ってらっしゃい」と言った。
階段を降りた二人は最初の分かれ道にいた。
「悪夢が起こりそうな祠はどこだ!」
「…仕方がありません。白み潰しに探して行くしかありません」
「しゃーねぇ! 俺は右側へ行く!!」
「わかりました! 私はそのまま、真っ直ぐへ行きます」
二人はそれぞれ、別れて祠を探した。それは夜までかかった。
それを黒子はじっと見ていた。眼鏡の奥、怪しい光を湛えていた。
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