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パリーン
水晶は綺麗に砕け散り、破片はキラキラと光っていた。薄紫色の破片は灰色の煙を立ち昇らせていた。
口裂け女の身体にピシッ、と亀裂が入り、硝子を割ったように割れた。しかし、破片は無く、悪夢の結界が壊れただけだった。
四人は曇り空を見上げた。嵐を招く雲は、悪夢を呼び続けた。
「………残りは十数ヶ所だ。今から行っても夜になるだけだ」
「うん。こんな夜は悪夢を呼びやすいからね」
「…明日にするの?」
しばしの沈黙。
「…どっちにしろ、時間の問題だ。早めに処理した方が先決だ」
新火はそう言うと、家の方向へ向かっていった。
ふと、立ち止まって溜め息を吐いた。
「……来るのか、来ないのか、はっきりしろ」
三人は顔を見合せると、庵奈に判断を任せた。
…ここで家に帰っても、悪夢が待っているだけだ。なら、私は…
「ここで立ち止まっていても、何にも始まらない。だから、行く!」
庵奈は拳に力を入れると、言った。
こうして四人は祠へと、向かった。
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