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次の祠へ向かっている庵奈はふと、足を止めた。
後方に振り返るが、そこには何もなかった。だが、何かの気配が消えるのは、感じた。
「……新火?」
そう呟くも、死人に口は無し。死人は自分が死んだことも伝えられない。
だから、死人は──悪夢となる。
庵奈は気のせいと思い、また歩き出した。
しばらく歩くと目の前に人影がちらついた。
「……新火なの?」
目の前に立つ新火はどこか、おかしかった。まるで、悪夢のように。
「嫌……。どうして、悪夢に…なったの!」
庵奈は涙混じりで、吠えた。この現実だけは認めたくなかった。
悪夢化とした新火は口元を歪め、笑った。右半分が無い身体を左右に揺らしながら、ジャンプしてこちらに向かってくる。
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