六話 有為天変

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どれぐらい走ったかわからないが、多分、相当走ったのだろう。やっと祠が見えてきた。 だが、悪夢の気配はひとつもない。 庵奈は胸を撫で下ろすと、祠の扉を開けた。中には薄紫の水晶があった。それを地面に叩きつけた。 凛、と澄んだ音が響いて重苦しい気配は消えた。 「……さて、悪夢はあいつだけだ。他の二人は……もう割ったか」 遠くの方で同じく凛、と澄んだ音が響いた。どうやら、他の二つも無事に割れたらしい。 しかし、それはほんの一時の安心だ。封印を守る祠はまだまだ、沢山ある。しばらくは無理な話だろう。 庵奈はちらっと、新火を見た。 (新火が悪夢になったということは…祠を壊し損ねたと言うところかしら。…しかし、そちらへ行くのは自殺行為だ) 庵奈はとりあえず、他の祠を壊しに行くことにした。
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