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最初は冬刃も言っている意味がわからなかった。が、慶輔の表情が引き釣っているのを見て、その意味を理解した。
慶輔は微笑んでいるが、表情は自然ではない。嘘がばれたような表情である。
悪夢は来ないが、空は白んで来た。もう時期、夜は明けるだろう。
庵奈はその前に決着をつけたかった。
「…聞こえなかった? もう一度言うわ。
あなたは、何を企んでいるの?」
庵奈は気付いていないが、「あんたは誰」がいつの間にか「あんたは何を企んでいるの」に変わっていた。
冬刃は一歩後方へと下がると、柄に手をかけた。
だが、慶輔は何も答えない。
「何でもいいから、いい加減答えなさいよ!!」
「…………フゥ。君にばれるとは思っていなかったよ。寧ろ、冬刃にばれると思っていたよ」
慶輔は笑った。それは全てを見下ように、全てを嘲うかのように。
ゾク、
庵奈と冬刃は背筋に寒気を感じた。ただならぬ気配と、未知の恐ろしさ…全てが恐ろしかった。
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